関東近郊エリアでの販路拡大

事業者名/株式会社永勘染工場

業種/製造業

日本の伝統工芸を、未来へ継承するために

平安時代から受け継がれてきた日本の伝統工芸「印染(しるしぞめ)」を中心に手がける、株式会社永勘染工場。印染とはその名の通り、屋号や家紋、ロゴといった印を布に染め記すことを指す。永勘染工場では主に受注生産を請け負っており、神社の幟や飲食店の暖簾といった布物に、顧客の「想いを、染めて」提供している。

永勘染工場・代表取締役の永野仁輝さんは、今回ダブルワークみやぎに求人を出した経緯について、次のように話す。「当社の創業は明治20年。仙台の地に腰を据えて、町の人々のニーズに沿った堅調な商いを行なってきましたが、コロナ禍の影響で店の経営に大きな打撃を受けました」。新型コロナウィルス感染症の流行にともない、ほとんどの祭りごとは中止に。加えて飲食店や酒販メーカーの経営も厳しくなったことから、法被や手拭い、前掛けなどさまざまな布製品の需要が低迷。また、得意先が廃業してしまうなど、取引先の環境も大きく変化してしまった。このような厳しい状況を打開すべく、新たな販路を開拓しようと、ダブルワークみやぎにエントリー。その結果、積み重ねてきた経験に裏打ちされた経営アドバイスを行ってくれる、齋藤憲さんと出会うことができた。

「自分がこれまでに培ってきた知見やスキルを、一つの企業だけではなく社会全体に還元できる点が、副業の素晴らしいところだと思います」。齋藤さんは食品メーカー会社に勤めるかたわら、「中小企業診断士」の資格を取得し、副業でさまざまな企業の経営コンサルティングを手がけてきた。今回、偶然ダブルワークみやぎで永勘染工場の求人を目にし、古き良き日本の”和の文化”を現代へと伝える、その素晴らしい事業内容に惹かれ、応募を決意したと話す。

「日本の伝統工芸は、海外から高い評価を得ています。しかしその魅力について、今以上にうまくPRする手段があるのではないかと、私は常々考えていました。今回、ダブルワークみやぎでいただいたこのご縁を大切にし、事業者の課題解決を目指して、ともに、伴走していければと思っています」。本業では一貫して営業職を担ってきた齋藤さんは、自分のこれまでの経験を生かし、永勘染工場の新規販路拡大を手伝えればと意欲を燃やす。

新風を吹き込むことで、日本経済の活性化にもつながる

永勘染工場と齋藤さんがマッチングして、まだ半月。現在は販路拡大に向けてお互いのビジョンをすり合わせ、戦略を練っている段階だが、今後は二人で首都圏にも足を運び、新規取引先を探す予定だ。「例えば多店舗展開している飲食店グループなどにアプローチし、新たな関係が築ければ、安定した経営につながるのではないかと考えています。」永野さんは、関東の飲食店を新たなコネクションを設けることで、継続的な仕事につながればと、今後の展開に期待を寄せる。「外部との交流が少ない中小企業にとって、外からの風というのは非常に重要だと感じています。ダブルワークみやぎではいろいろな経験を持っている方とお会いできるので、自社の考えに賛同してもらえる方ともマッチングできるはずです」と永野さんは続け、思い切ってダブルワークみやぎに登録してよかったとにこやかに笑う。その言葉に齋藤さんも頷き、「副業は事業者にとっても良い刺激を与えてくれます。本業とは違った業界の仕組み、考え方など、新たな世界を知ることで自身の視野も広がり、その経験をまた本業へ生かすこともできるんです」。

副業を通すことで事業者と副業者、お互いの世界の厚みが増し、より良い成果が生まれることで、日本の経済も活性化する。社会的な意義もある副業にぜひ挑戦してみて欲しいと、二人は微笑みながら話してくれた。